当店能舞台「有馬能楽堂」では、2018年9月30日(日)に能《葵上》を、10月14日(日)に能《井筒》を上演いたします。
《葵上》は、古典文学の『源氏物語』を元とした能。
《井筒》は、同じく古典文学の『伊勢物語』を元とした能となっております。
このように能には古典文学を題材にした演目が数多くあります。それは能楽が成立した室町時代には現代以上に広く知られた作品だったためと考えられています。
現在のようにメディアが発達していなかった室町時代。多くの人にとって共通の知識は当時、既に古典だった物語でした。
広く知られている物語を、歌と舞と能面・装束で、立体化して見せる。
もしかすると、室町時代の人たちが古典文学原作の能を見ることは、現代の私たちが小説原作の映画を見るような感覚だったのかもしれません。
《葵上》では、光源氏の愛人・六条御息所がお忍びで尋ねた葵祭で、正妻の葵上の従者たちに牛車を乱暴されてしまうことから始まった恨みと嫉妬を。
《井筒》では、『伊勢物語』に描かれた幼馴染の妻の、狂おしいまでに一途な愛を。
それぞれ一流の能楽師による演技で、現代の三田屋本店能舞台の上に描き出します。