太郎冠者は、狂言を代表する登場人物です。
「冠者」とは本来、冠をつけた成人男子の意味なのですが、狂言では誰かに仕える召使いや家来のような役割を示す言葉になっています。
冠者が二人以上出る曲もあり、その場合は一人目が”太郎冠者”、二人目が”次郎冠者”…となります。
あくまで役割の名前なので、演目によって、しっかり者だったり賢かったり、逆に間抜けだったり怠け者だったりと、様々な姿を見せますが、全体的には茶目っ気の強い楽しい人物として登場することが多いです。
「仕える」という意味では、現代のサラリーマンにも通じるような部分もあります。
当店で上演予定の演目では、
7月7日(土)の《鬼瓦》では、大名のもらい泣きをするような感受性の強い太郎冠者が。
7月27日(金)の《清水》では、主人に嘘をついてしまい、それを隠すために更なる嘘をついてしまう太郎冠者が。
8月26日(日)の《萩大名》には、和歌が詠めない大名のために、頑張ってフォローをする太郎冠者が、それぞれ登場します。
様々に活躍する太郎冠者。
彼らの活躍を追ってご覧になるのも、狂言のひとつの楽しみ方ではないでしょうか。